トレタ データサイエンス研究所

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2018年3月2日

1/24 千葉商科大学「ユニバーシティ・レクチャー」登壇に関して

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1月24日、千葉商科大学「第15回 ユニバーシティ・レクチャー」にて、「なぜ今、人工知能なのか? なぜ今、ビッグデータなのか?教育・会計への影響は?」というタイトルでお話しさせて頂きました。
案内資料はこちら
http://www.cuc.ac.jp/keiken/news/2017/vuha3j00000007fw.html

私自身、ビッグデータや人工知能(AI)に関してはお話しする機会はあるものの、「金融」や「会計」については素人ですし、工学系出身ですのでアカデミアの「会計学」というものも畑違いではあるものの、テクノロジー(ここでいうビッグデータ・AI)とビジネス(ここでいう金融・会計)という縦と横の交差点を各専門家が踏み出して議論することが非常に刺激的で(もちろんお互いを理解しようという姿勢でないとならない)、今回の「講義60分、質疑応答30分」には事前に同大学を訪問し会計および経済の教授陣3名と事前情報交換をさせて頂いて当日を迎えました。

お話しした内容は、

  • 今、起きていること
  • ビッグデータとは何なのか?AIとは何なのか?
  • なぜ、今なのか?
  • 教育、金融、会計への影響は?

という流れで時間を頂戴してお話ししてきました。

千葉商科大学と先生方の姿勢に感銘

教育機関の課題感としては、育っていった学生が就職・活躍できるのか?、それに見合う教育を提供できているのか?が挙げられますが、卒業生が社会に出て自律的に活躍するのは5年から10年先。だからこそ教育機関こそ10年先、20年先の将来を見据えた教育・教育カリキュラムを考えて行かなければならない。そういう視点で千葉商科大学の先生方はビッグデータ・AIの現状、将来を理解しようとされていらっしゃいます。「仕事がなくなるんじゃないか?」という恐れや不安もあるとは思いますが(もちろんその話もしました)、はじめから否定する拒否するのでなく、「どのように付き合っていったらよいか?」「自分たちもどう最適化していくべきか?」を考えられている先生方の姿を見て、「素晴らしい大学だな」と感じるようになりました。

今、起きていること

おなじみのDeepMind社の囲碁AI「AlphaGo」に始まり、金融ディーラーがデータサイエンティストに置き換わった話、銀行のコールセンター業務がAI化している話、自動運転、中国の無人コンビニなど、各種世の中を騒がせた事例をお話ししつつ、GAFA(Google, Apple, Facebook, Amazon)とBAT(Baidu, Alibaba, Tencent)に代表される米国と中国のテクノロジージャイアント達によるAI開発競争、そしてAmazonの台頭による米トイザらス破綻やWhole Foods Market買収の話もしながら、仕事や働き方が変わることは将来でなく今起こっていることであるとお話ししました。

ビッグデータとは何なのか?AIとは何なのか?なぜ、今なのか?

ビッグデータやAIについての理解は前提として必要ですし今回も説明しましたが、それよりも「なぜ、今なのか?」という話を理解することで、これから将来についても見えてくるものが変わります。逆にいうと、ビッグデータはデータ量が多種多様かつ大量になったという状態を表していることですし、AIは1950年代から言葉は存在しかつそれに対する研究は長年されてきている状態ですから、そういう視点からも「なぜ今なのか?」という背景を理解することの方が重要であるということです。
では「なぜ、今なのか?」といってもこれも難しい話ではなく、コンピュータの処理能力と処理容量の進化、インターネットの発達、通信速度の高速化、といったファンダメンタルな変化によることが主な要因と考えられます。
インターネットの発達によって情報が大量になりかつ電子化されたことで「データ」が増え、通信速度の高速化やデバイスの多様化によりアクセスする人や回数が圧倒的に増えて「データ」がさらに増え、それをベースにコンピュータパワーを非常に使う数理モデルという計算式を熟せるようなレベルにコンピュータが発達したことでAIが様々なシーンで使われるようになったということです。

教育、金融、会計への影響は?

影響があるかないかで言えば間違いなく「ある」のですが、どうあるのか?というところがポイントになります。教育は特に人それぞれ目的やゴールが様々なのでそれに合わせて何が影響するか?は異なります。例えば「資格を取りたい」という話ですとAIは大量の知識を的確に情報整理・特徴抽出できるようになってきているので、知識蓄積型の資格は仕事自体がなくなる可能性もありますし、教える立場の人間はロボットでも良いかもしれません。逆に複数人でクリエイティブな作業、かつその参加者の知識やスキルが複数の領域に跨るようなものはなかなかAIの入る隙が見つからないと思います。
中国ではタブレットで学習し問題を解答する際、特有の電子ペンを使って紙に記述するとその筆跡を電子化しタブレットで表示させ記述のどこが合っていてどこで間違ったのかをAIで判別するサービスが話題になったように、部分的にもAIが教育に入ってきている状態です。
また金融や会計、金融市場はAIが売買に絡んでいることは有名ですし、会計は資格という意味でAIが代替する役割は一定量あると思われます。

その中で人は何をするのか?

現在は「処理・作業」がコンピュータの役割、「分析・示唆」「戦略・企画」は人間の役割だが、近い将来は「分析・示唆」までコンピュータが示すようになるだろう、という話を私の方から提示し、専門家として生きていくには「戦略・企画」まで示せることが人の要件になっていくべきである旨をお話ししました。
講義の後も「人の役割」に関する話題で非常に盛り上がりました。もちろん会計学の専門家の方々が多くいらっしゃったことで「会計はほとんど人がいらなくなる」「残るのはどこの部分か?」「どういう人材を輩出するのか?」といった議論が盛んに行われ、有意義な時間になりました。

会計・金融に限らず、各分野で影響を及ぼすと思われるビッグデータ・AIについて、一度自身の領域でどういうことが起こり得るのか?を整理して将来を想像することも重要ですね。

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萩原 静厳
この記事を書いた人

1979年生まれ。2005年東京工業大学大学院修了。株式会社リクルート各事業のビッグデータ関連案件に従事。2014年より株式会社リクルートマーケティングパートナーズにて「スタディサプリ」等の教育サービスのビッグデータ解析および、東京大学松尾研究室との「アダプティブラーニング」共同研究等の産学連携を担当。ビッグデータエバンジェリスト。

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