トレタ データサイエンス研究所

Report
2019年2月4日

Google Brain, DeepMindによる汎用ロボットの取り組み/Deep Learning Summit in San Francisco

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これまで、WalmartのAI活用とAmazonとの関係性について書き、AmazonGoの考察アプリオーダーのTheMeltついても書いてきた。

汎用的に動くロボットを目指して

私的にはWalmartと同様に気づきが多かったプレゼンは、このGoogle Brain・Research ScientistのKarol Hausmanによる ‘Discovering Latent Structure in Deep Robotic Learning’だった。彼はDeepMindでもインターンしていたようで、協働相手としてDeepMindのロゴが付いている(その隣はUniversity of Southern California)。

 

このプレゼン、いつものごとくDeep LearningとReinforced Learningでロボットを自律的に動かすもの(下図左)で、最近日本でも結構増えてきていて目にした人も多いだろう。しかし、この内容は「過去やった作業の一部を覚えていて(おそらくこれをLatentと言っている)、他の作業をする時に思い出してすぐできるようにする」取り組みだ。

 

それを聞いて「ふーん」という感じかもしれない。しかし、現在のDL/RLの分野では単一作業の高度化はできても、他の作業はまた一から教え込まなければならない状況なのだ。なので多少ファジー(ばら積み、粉物等)な環境で、「単一作業を状況を見極めて高度にできる」というのが現実解(限界点)となっている。

上図右グラフで示しているのは「一から学習して行くので、常に初めの精度が低すぎる」と言っていて、Hausman氏は「人間ならそんなことなく、結構覚えて初めからできたりする。過去違うシーンで覚えたことを使っているからだ。」と言うのだ。

この考え方を聞いた瞬間に「DeepMindらしいな」と思った(彼はDeepMindはインターンでしか所属してなかったが)。DeepMindはいつもロボットを適切に動かすため(作業の精度を上げるため)ではなく、人間の脳の活動プロセス・思考プロセスを再現するために研究をしている、と私なりに解釈している。つまり、「人間はこのように考え行動している理由は、脳の思考プロセスとしてはこうではないか?」と常に構造・アーキテクトの設計を行い、それをロボットで再現している。単純にパラメータのチューニングで精度を上げることだけをしている訳ではない、というところが面白い。

汎用的なロボットを作るのもDeepMindが一番可能性があるのではないかと思ってしまう。

初めて行う作業を適切にこなす

図示すると下図のように、各Taskの中から要素を引っ張り出して、新しいTaskを初めから精度高く実現できるのではないか?というアプローチだ。

 

そうすると、下図左上の「物体を持ち上げて動かす」Taskと、下図右上の「物体を障害物の反対に移動させる」Taskを学ばせて(プレゼンではembeddingと言っている)、下図中央下の「物体を持ち上げて障害物の反対に移動させる」Taskをトレーニング無しでできるようになる、というのだ。

 

そして現実世界におけるロボットでの実装だが、見事に作業を行っていることが映像で見られた(映像撮影できれば良かったが、今回は無し)。

 

DeepMindは汎用ロボットの実現に最も近い

深層学習や強化学習を活用したAIロボットの取り組みは各国で進んできている。日本では安川電機の次世代工場の話題をはじめ、単一作業においては精度高く作業をこなすロボットなども見られてきているのが現時点の認識だ。おそらく今後数年はAIロボットや、産業機械のAI化が少しずつ実用化に向かって動いて行くだろう。

一方で、その先のAIロボットのブレイクスルーは単一作業ではなく、複数作業、ひいては汎用化に近づいていくものだと見立てると、このDeepMindの取り組みは大きな思考転換になるのではないだろうか。

また、外食産業における生産性の向上を考えても「異なる料理を異なる器具で、顧客の味付けの要望も加味して調理する」というロボットを想定するならば、この研究アプローチは非常に有意義なものになる。

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萩原 静厳
この記事を書いた人

1979年生まれ。2005年東京工業大学大学院修了。株式会社リクルート各事業のビッグデータ関連案件に従事。2014年より株式会社リクルートマーケティングパートナーズにて「スタディサプリ」等の教育サービスのビッグデータ解析および、東京大学松尾研究室との「アダプティブラーニング」共同研究等の産学連携を担当。ビッグデータエバンジェリスト。

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